
| 会社名 | Hakko Craft Co. |
|---|---|
| 施策対象商品 | 麹調味料の製造・販売 |
| 提供サービス | SNS運用支援、ブランディング戦略策定 |
| 目的 | 米国市場における認知拡大、BtoB/BtoC販路の開拓 |
| 効果 | 米国市場での「Koji」の認知拡大、ブランドの信頼性構築、B2B展開への土壌づくり |
「ストーリーって何?」からのスタート。SNS素人が挑んだ情報発信
――まずは事業内容と、SNS運用を始めるに至った経緯を教えてください。
Hakko Craft Co. 平野 孝枝さん(以下、孝枝さん):
私たちはテキサス州ダラスで、日本古来の「麹」を使った調味料を作っています。塩麹や醤油麹といった定番から、こちらの食文化に合わせた「セラノ(青唐辛子)麹」や「トマト麹」などを開発し、現地のレストランや一般のお客様に販売しています。
マスドライバー株式会社 牧野 友香子(以下、牧野):
元々はご自宅で麹を作られていたのが始まりでしたよね。
孝枝さん:
そうです。アメリカでは法律的に自宅での酒造りが許されているので、主人が趣味で日本酒やその材料となる米麹を作っていたんです。それを見た友香子さんが「これ、売れそうだよね」と言ってくれたのがきっかけでした。私たちは長年飲食業界にいましたが、「完成品(料理やお酒)」を売ることばかり考えていて、その途中経過である「麹」自体がビジネスになるなんて全くの盲点だったんです。
そこから2024年の10月頃に動き出して、翌年の春には会社を登録しました。ただ、商品は作れても、私たち二人ともSNSに関しては本当に「ド素人」で……(笑)。私はインスタグラムのアカウントこそ持っていましたけど、もう1年以上開いてもいない状態で。「リール?ストーリーズ?何それ?」という用語の意味さえ分からないレベルからのスタートでした。

牧野:
最初は本当にそこからの相談でしたよね。そもそもインスタグラムをやるべきなのか、YouTubeなのか、というところからお話ししました。
孝枝さん:
はい。麹というアメリカ人にとって「未知のもの」を広めていくには、どうしても写真だけでなく、動画やテキストでの教育(啓蒙)が必要不可欠でした。そこで、マスドライバーさんや友香子ちゃんに相談に乗ってもらいながら、まずはインスタグラムから始めることにしたんです。
「白一色」の難しさ。100点を目指して動けなくなる前に
──実際にSNS運用を始めてみて、どんな壁にぶつかりましたか?
孝枝さん:
一番苦労したのは「写真撮影」ですね。麹って、基本的にお米なので「全部白い」んですよ(笑)。普通に撮るとのっぺりしてしまって、立体感も出ないし、全然美味しそうに見えない。「どうやったらこの白さを魅力的に伝えられるの?」って、何度も頭を抱えました。
そこで牧野さんたちに写真を見てもらって、「木のスプーンに乗せてみよう」とか「背景に葉っぱなどのナチュラルな要素を入れてみよう」といった具体的なアドバイスをもらいながら、試行錯誤しました。

牧野:
最初は投稿一つ作るのにも、かなり時間がかかっていましたよね。
孝枝さん:
そうなんです。最初は1つの投稿を作るのに丸1日かかってしまうこともありました。私たちは別の仕事もしながら、隙間時間で麹を作り、撮影もしなきゃいけない。どうしても「完璧なものを出さなきゃ」と思って手が止まってしまっていたんです。
でも、牧野さんたちから「最初は100点じゃなくていい。8割の完成度でいいから、とにかく早く出して、反応を見ながら修正していけばいい」と言ってもらえたことで、すごく救われました。そのアドバイスがなかったら、最初の投稿をするまでにもっと半年くらいかかっていたかもしれません。
「カリフォルニアロール」が「ハマチ」に変わったように。現場で見た食文化の進化まで繋げる
──SNSを通して、どのような層にアプローチしていきたいと考えていますか?
孝枝さん:
実は、最初はあえて「レストラン(B2B)」へのアプローチを意識していました。いきなりスーパーなどの一般市場(B2C)で安売りするのではなく、まずはハイエンドなレストランのシェフたちに使ってもらうことで、「Koji」というもののブランド価値や信頼性を高めたかったんです。

牧野:
一般消費者へ広げる前に、まずは「プロが認める食材」としての地位を確立する戦略ですね。
孝枝さん:
はい。なぜなら、アメリカの食文化が変わっていくプロセスを、私は飲食の現場で20年以上見てきたからです。昔、アメリカで寿司といえば「カリフォルニアロール」や「スパイシーツナロール」しかありませんでした。握り寿司なんて、ツナとサーモンくらい。
でも今では、アメリカ人が「カンパチ」や「シマアジ」を日本語の発音でオーダーして食べているんです。これは、私たちのような現場の人間が「この魚はこういう味で、こう食べると美味しいんだよ」と、お客様を教育(Educate)し続けてきた結果なんです。

牧野:
その原体験があるからこそ、「麹」も同じように文化として根付かせることができると確信しているんですね。
孝枝さん:
そうです。今はまだ「Kojiって何?カビ(Mold)なの?」というネガティブな反応がある段階かもしれませんが、SNSで正しく情報を発信し、使い方を提案し続けることで、いつか必ず「Kojiは健康に良くて美味しい」という常識が定着する日が来るはずです。
私たちの麹でマリネされたお肉やお魚が並ぶ未来を目標に
──今後の展望について教えてください。
孝枝さん:
SNSで少しずつ認知が広がってきたおかげで、ファーマーズマーケットなどでも「インスタ見たよ!」と声をかけてもらえることが増えました。これからは、SNSで広げた興味・関心を、新しく作ったWebサイト(前回の記事参照)という「本店」でしっかり受け止めて、より深い信頼関係を築いていきたいですね。
ゆくゆくは、アメリカの大手スーパーに、私たちの麹でマリネされたお肉やお魚が並ぶ……そんな未来を目標にしています。夢は大きく(笑)。
牧野:
いいですね!SNSもWebサイトも、その夢を実現するためのツールです。私たちもブランドの「文脈」を理解したパートナーとして、テキサスから全米へ麹文化が広がるまで全力で伴走します!
孝枝さん:
心強いです。これからもよろしくお願いします!
牧野:
こちらこそ、今後ともぜひよろしくお願いいたします!
