
| 会社名 | ファーレンハイト213株式会社 |
|---|---|
| 施策対象商品 | ゲーム開発 |
| 提供サービス | 現地に馴染む他言語へのテキスト翻訳&SNSマーケティング支援 |
| 目的 | 正確に訳すだけでなく「魅力的に伝える」言語化 |
| 効果 | 国内外で多数のメディアに取り上げられ、SNSでは数百万回以上表示。英語版PVは、日本語版PVを超えるほど注目を獲得 |
マーケティング視点での「翻訳」
――現在どのような取り組みを行っていますか。
塩川洋介さん(以下、塩川さん):
ゲーム内で使用するテキストの翻訳をご相談しています。具体的には、ゲームタイトルや、ゲーム内で使用する専門用語の日本語からその他の言語への翻訳です。すでに発表しているタイトルについても、日本語で制作した原稿を英語および中国語に翻訳していただいています。

塩川さん:
マスドライバーさんはデジタルマーケティングを主軸としながら、翻訳業務も手がけていらっしゃるので、単に言語を置き換えるのではなく、「どう伝わるか」という点まで踏み込んで翻訳できることの意義は大きいと感じます。

――取り組みが始まったのはいつ頃でしょうか。
塩川さん:
数年前に、ある企業と共同でプロジェクトを進めていた際に、ゲームの企画書の中国語版が急遽必要になったことがきっかけです。その時に300ページほどの日本語の企画書を中国語に翻訳していただいたことが、現在の協業の起点になりました。
マスドライバー株式会社 代表 牧野(以下、牧野):
当時、弊社は中国最大手のエンタメ企業とゲーム事業で連携しており、アセット翻訳・制作のアテンド・ローカライズまで一通り対応していました。こうしたゲーム業界への知見があるという点を評価していただき、声をかけていただいたと思います。翻訳のご相談をいただいたのは塩川さんのプロジェクトが進行している途中で、PVに掲載するテキストや、ストアページの説明文なども対応しました。

ゲーム開発の現場で求められる翻訳の本質
――ファーレンハイト213株式会社はどんな会社?
塩川さん:
2022年2月に会社を立ち上げました。それまで、大手ゲーム会社に所属していたのですが、独立する道を選びました。現在は数名の社員を中心に、プロジェクトごとに外部のクリエイターや技術者と連携しながらゲーム開発を進めています。少人数ではありますが、その分、作品の質にこだわっています。
2023年頃にある企業から「ゲームの企画書を中国語で提出してほしい」と依頼され、どこに相談すればいいか聞いたところ、その企業から紹介されたのがマスドライバーさんでした。
牧野:
その企業さんとは他の案件で協業したことがあり、ゲーム業界のことを理解しているマスドライバーなら翻訳できるのでは、と紹介していただきました。
塩川さん:
突然300ページくらいあるゲームの企画書を中国語に翻訳しないといけない状況だったので、とても助かりました。ゲームの企画書は独特の表現があったり、世界観をうまく伝える必要があったりするので、機械的な翻訳では対応できません。さらに、社内向け開発資料ではなく、企業向けのプレゼン資料だったため「正確に訳す」だけでなく「魅力的に伝える」必要がありました。この点は特に、ゲーム業界に関わりのある経験のある会社でないと翻訳するのは難しいと思います。
牧野:
弊社は中国語への翻訳の経験はありますが、特に企画書の翻訳は難易度が高いと感じています。というのも、企画書を見てもらった相手に「進めたい」と感じてもらう必要があるからです。ですから、ゲームの世界観を理解していることに加え、意思決定者の視点を意識した翻訳を行いました。
塩川さん:
企画を評価していただく上で、翻訳の役割は大きかったと思いますし、非常に助けられました。
牧野:
現在はゲームの翻訳もさせていただいているのですが、日本語の単語ひとつでも他の言語にするときに選ぶ言葉によって、受け取られる印象が大きく変わります。「これは●●です」「これは●●じゃん」など、ちょっとした語尾のニュアンスもありますし。
試行錯誤を重ねて決めた言葉でも、「やはり違う」と修正が入ることも珍しくありません。特にタイトル翻訳は最も難しいと感じます。数文字の短い言葉の中に世界観・物語性・ゲーム性を凝縮して、ユーザーに期待を持ってもらう必要があるからです。
塩川さん:
日本語のタイトル自体、何度も推敲を重ねて生み出しています。そこに込められた意味を分解し、別の言語で表現する作業は相当な理解力と想像力が必要だと思います。


縁の下の力持ち。翻訳が成果として見えた瞬間
――現時点での「成果」について教えてください。
塩川さん:
最近の事例としては、弊社で現在開発中のPCゲーム『つるぎ姫』の新しいPVを2025年末に公開したのですが、国内外で多数のメディアに取り上げられ、SNSでは数百万回以上表示される投稿もありました。でも、特に印象的だったのは、英語版PVの再生数が日本語版を超える数字にまで伸びたことです。
もちろん要因は複合的ですが、そのために翻訳が大きな役割を果たしてくれたことは確かです。内容が良くても、翻訳によって表現が稚拙になってしまっていたら、ここまで評価されることはなかったと思います。
弊社は「新しいものを生み出し、きちんと完成させる」という当たり前のようで、でも実際には難しいことに挑戦していきたいと考えています。会社立ち上げ当初から、グローバル展開も前提にしており、言語や文化を越えて熱狂してもらえるような作品を世に出すことを意識しています。そのためには、日本らしさや日本人としての個性も出しつつ、国籍や属性関係なく楽しめる、ある程度普遍性を持つ作品にしていきたいですし、グローバル展開にはマーケティングの目線を持ったコンテンツの制作や、そのための翻訳はとても重要だと思います。
現在、ある別のゲームのちょうどタイトル翻訳の最終案を検討しているところです。言葉をあえて「引っかける」ことで生まれる日本語のインパクトを、他の言語でも再構築できるかが重要だと考えています。
牧野:
ご検討よろしくお願いします。マスドライバーとしては、翻訳には必ず「目的」があるべきだという考えがあります。ゲームタイトル翻訳の場合は、もちろんゲームの魅力や世界観を伝えることも大切ですが、ゲームが認知され、購入され、プレイされることが目的です。
一般的な翻訳会社は「正しさ」を重視することに対して、私たちが重視しているのは「成果につながるか」ということです。これは、弊社がマーケティング会社であることが根底にありますし、弊社の存在意義だと考えています。
アメリカでのマーケティングに挑戦したい
――今後はマーケティング領域での協業も視野に?
塩川さん:
ぜひお願いしたいと思っています。例えば、マスドライバーさんが拠点を移したアメリカでのマーケティングは可能でしょうか?
牧野:
エンターテインメント分野ではすでにアメリカ向けのSNS運用やSEO支援などを行っているので、自社で知見を蓄積しながら展開したいという考えがある企業さんの伴走型の支援はできると思います。
塩川さん:
ゲーム業界においては、今や小規模スタジオでも海外展開に挑戦できる時代です。その中でどう戦っていくか。ぜひ、マーケティングも含めてこれからも伴走してもらえたらうれしいです。
牧野:
ありがとうございます。がんばります!
